Dinosaur Hunters

(※かなり古い作品でコメディ寄りです。
 多少句読点などを直していますが、それ以外は書いた当時そのままの内容です)


世界が引き裂かれたその日から1年。
引き裂かれた世界と共に、散ってしまった戦士達が、自らの意思で再び集まっていく。
全ては狂った魔導士を、この世から葬り去るために。
この世界に、再び緑を戻すために。

…………それは一刻を争う状況……、なのだが。
「装備の充実」を合言葉に、戦士たちはまだ、悪の総本山こと、「瓦礫の塔」には向かってなかった。
彼らがいるのはとある森。
森といっても、小鳥や小動物が住むような、平和な森ではなく、生ぬるい強さのモンスターがいるわけでもない。
彼らがいるのは、獣ヶ原北部の、通称恐竜の森。
彼らはそこで、確実に死闘を繰り広げていた。
古の時に滅びたはずの竜達と。

「くらえ竜ども!!これでとどめだッ!!」
頭にバンダナを巻いた軽装の青年が、その格好にはあまり似合わない剣を振り上げる。散々苦労させられたのか、顔には青筋が浮いているが、その表情は歓喜に満ちている。
だが、竜も最後の力を振り絞り、雄叫びを上げつつ、その尾を振り回し青年に向ける!!思わず長い金髪の女性が声をあげた。
「ロック!!危ない!!」
金髪の女性の隣の、緑髪ポニーテールの女性も青年の危機に気づいたようだ。
回復魔法を詠唱し終わった彼女は、すぐさま次の魔法の詠唱に取り掛かった。
「え、え、何にしよう……とりあえず、アルテマ!!」
「え゛…………」
青年を助けに恐竜に攻撃をしかけていた、とある国の王は、思わずポニーテールの女性……ティナの方向を振り向く。
だが、時既に遅し。詠唱は完璧に終わっていた……。
ド派手な音をあげて、森はまた、核爆発の光に包まれたのであった。


それからしばらく後。夕の赤い光が藍色に変わる。静かな闇の夜。
この時間ばかりは、恐竜も戦士たちも戦いを止め、明日に備えるべく休む。
戦士たちは、焚き火を囲んで、食事をしている。
一国の王、泥棒(自称トレジャーハンター)、人間と幻獣のハーフ、元将軍。 傍から見れば、何の共通項もない四人組である。
が、彼らは共通の目的がある。それが運命が彼らを巡り合せた理由だった。
「今日もあの黄色い竜には会えなかったわね……」
半ば不満そうにつぶやくのは元将軍、セリスである。
「確かに得られるもの(=スリースターズ)は大きいけれど、リスクが大きいわ」
「それはそうとティナ、アルテマを使うなら、使うと事前に言ってくれ」
後ろから話し掛けるのは、一国の王、エドガー。こちらも困り顔である。
「エドガーは直撃したからな〜、少しでもいいところ見せるために突っ込むから」
にやついた顔で言う自称トレジャーハンターロック。エドガーは少し顔を赤らめつつ、ロックの首を絞めにかかっている。
ティナは頭に疑問符を浮かべ、今度はセリスが笑いながら様子を眺めている。
「ほら、もうすぐお肉が焼けるし、ご飯にしましょう」
魔法で火を起こし、フライパンという便利なものはここに存在しないため、剣の上に肉をのせて、肉をあぶっていた。
女性二人が焼き加減を見ているが、ジュウジュウ美味しそうな音を立て、肉汁を出しながら、それは非常に美味しそうに仕上がっていた。
もちろん、その肉とは、昼間倒した恐竜の肉である。
「一応……これまで問題はなかったが…………」
「……なぁ、やっぱ、干し肉喰わない?」
いかんせん得体の知れない食材であるため、男性二人は警戒心満々である。
「だめよ、あれは非常食でしょう」
「ほら、見てみて!!美味しそうよ。頂きます♪」
こういうときは女性のほうが思い切りが良いのか、ティナが最初に、豪快にかぶりついた。
当初の予想では、ティナが一番警戒心を出すと思われたが、モブリズの村でハングリー精神を身につけたのか、今では好き嫌いせず何でも良く食べる。
無論、それがティラノサウルスの肉だろうが、ブラキオレイドスの肉だろうが関係ない。
ティナの様子を見て、次は自分だとばかりにかぶりつくセリス。こちらも孤島生活で魚しか食べていなかったからだろう、とてもよく食べる。
動物性食物への執着心……なのだろうか。
人間とは、得体の知れない物体には警戒心を持つものである。普通の人間は。
自分の城が酸欠になったとはいえ、喰うものには困らなかったエドガー。
大怪我はしたものの、世界崩壊後には空気にも食べ物にも困らなかったロック。おそらくこの中で一番の幸せ者だろう。
食糧難にあえいだ女性二人の勢いについていくことは到底不可能である。
それでも、空腹に鳴く腹を満たすには、それと対峙し、食さなければならない。
ぐぅぅぅ……と腹の音が空しく響くばかり。
顔は誤魔化せても、カラダは嘘をつかない。
「ほら、ロック、食べなさいって」
得体の知れない動物の、いや、動物とは呼べないかもしれない、そんな肉を豪快につかみながら、やや命令口調で近づいてくるセリス。
ロックは後ずさりしようとするが、それは残念、巨木にぶつかり、逃げ場はなくなる。
ティナも豪快に肉をつかみつつ、半ばトランス状態、髪を白桃色に染めつつエドガーに迫る。
トランスという脅迫を受けた時点で、エドガーはあっさり白旗をあげた。
男というのは、惚れた女性にはとことん弱いものだ。
そして、叫びは森に木霊せず、二人に心のなかに、永遠と思われるほど長く続いたのであった……。



    
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